うちのスタッフストーリー 其の三

(いちいちこんなヤツばっか 笑)

彼は、工場をリストラされ、うちに面接にきました。

彼は、飲食店で働いたことはありません。

彼にはお父さんがいません。

彼がまだ、小さい頃、
「タバコ買ってくるわ」
と、言って出て行ったきり帰って来なかったそうです。
ネタではなく、ホントの話しだそうです。

お姉さんが2人いますが、ひとりはずっとこころの病で、ひとりはよからぬものにハマっていて、まともな会話もままならないそうです。

お母さんも、同じくよからぬものにハマっています。

そんな家庭環境の中で育ってきた彼は言います。

「俺よりもっと大変なひとなんて、星の数ほどいると思います。だから、オレはぜんっぜんっ幸せです!」

…………………………………(T_T)

採用だよ。採用!!
決まってんだろ!!

彼が入社して4年が経ちました。

仕事がバリバリできるかと聞かれれば、残念ながら、できないほうです。

ただ、彼は明るい。

仕事は、あまりできないけど、

お客様に好かれます。

スタッフにも好かれます。

うちの子供たちにも好かれます(笑)。

営業中でも、ひとよりいっぱい名前を覚えてもらって、ひとよりいっぱい名前を呼ばれます。

どんな仕事でも、頼まれたことは、絶対にイヤな顔ひとつせずに全力で取り組みます。

正直……

ひとより少しだけ能力は劣るかもしれません。
でも、一生懸命さは誰にも劣りません。

そして、彼の一番の才能は、

風邪をひきません(笑)

だから、絶対に仕事を休みません。

4年間、一度も仕事を休んだことがありません。

これは、もはや才能だと思います。

そして、彼は、給料の8割を母親に渡しています。

「あまり仕事はできないかも知れないけど、彼がいなくなったら、たぶん、あなたの組織は何かが崩れるとおもうよ。」
と、ある人に言われました。

ぼくも、そう思います。

どんな組織でもそうだとは思いますが、だれでも、そこで担う役割は必ずあると思うんです。

前にも書いたことがありますが、ぼくにとって、
仕事ができる、できないは大きな問題では、ありません。

笑うところ

泣くところ

嬉しく思うところ

感動するところ

そんな感性が同じならば、一生の仲間になれるから。

ぼくの採用基準はそこだけと言ってもいいくらいです。

いつの間にか3店舗になってしまいましたが、ぼくは、もともと、商売を大きくしようとは思っていませんでした。

それは今でも変わりません。

大きくなって、仕事が増えて、

人が足りないからって、妥協して、少し首はかしげるけど、とりあえずは採用して、

なんとなく人数が増えて、

でも、いろいろ解り合えなくなって、少しづついろんなところがズレてきて、
ただただ仕事をする集団になんかなりたくない。

仕事が終われば会話もなく、みんな一斉に帰ってしまうような職場に絶対にしたくない。

そんなんなってから、

創業当時とか思い出して、

「あの頃はよかったねぇ………」

なんて言いたくない。

だから、まず第一に人間性大切にしたいんです。

彼は言います。

「オレはゆうじさんに、お前なんか辞めちまえっ!!って言われるまでは、ずっといますから!!」

こんなに嬉しい言葉はありません。

でも、4年前は、ぼくも今より全然人間ができてなかったと思います。(今もだけど……)

だから、あまりの仕事の出来なさに

「お前なんか辞めちまえっ!!」

って、何回か言った記憶があります(^^;;

言ったけど、なぜか彼はまだいます(笑)

毎日毎日、ぼくは彼をいっぱい怒ってしまいます。

でも、僕はアイツが大好きなんです!!
好き嫌いだけで、ひとを雇うのか??
甘い!!

経営者失格!!

そう言われれば、そうなのかもしれないけど、

かまいません。

だから、これからも、今の基準がブレることはないと思います。

「辞めちまえっ!」なんてことは、この先もう、絶対に言いません。

誰に対しても。

彼が成長し、自分の店がもてるようになるまで、ずっと歩幅を合わせていっしょに歩いて行きたいと思います。

彼と出会えて、ほんとに良かったなって思う今日このごろです(^^)

うちに来てくれてありがとう。

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